平成29年 第3回定例会 賛成討論 日野 たかし議員
2017年10月2日
上程中の認定第1号、平成28年度中野区一般会計歳入歳出決算の認定について、公明党議員団の立場から賛成討論を行います。
平成28年度の一般会計は、歳入総額1,283億8,899万5,000円で、前年度比61億199万9,000円の減、歳出総額は1,248億6,950万円で前年度比64億5,411万6,000円の減となりました。実質収支は29億4,627万4,000円の黒字となり、前年度比は1億2,790万7,000円の増で、単年度収支においても1億2,790万7,000円の黒字となりました。
歳入においては、法人税の一部国税化による特別区交付金の減があったものの、基幹収入である特別区民税は納税者数が3.2%増、納税義務者一人当たりの所得額も0.9%増となり、前年度と比較すると8億円増となりました。歳出においては、義務的経費のうち扶助費は保育に係る給付費の増などにより5.6%増となったものの、公債費は元金償還金の大幅減により49.7%減となりました。財政指標から見ると、財政運営状況を判断する指標の一つである実質収支比率は、前年度比0.1ポイント増の3.8%となり、特別区平均を上回り、指標として望ましいとされる3から5%の範囲内となっています。
財政構造の弾力性の度合いを判断する指標である経常収支比率は、前年度比0.4ポイント上回ったものの、指標となる70から80%の値を引き続き維持し、特別区平均を下回る76.9%となり、財政構造の弾力化が保たれている状態です。
公債費負担比率においては、公債費充当一般財源等が48億93万2,000円減になったことから、前年度比4.3ポイント下回る5.4%となり、大幅に改善されました。
これらの財政指標からも平成28年度決算は、財政の健全性が保たれていると言えます。
また、平成28年度は10か年計画(第3次)の開始の年となり、安定的な財政運営を行うための財政基盤構築が進められるかどうかが問われます。その観点から、特別区債と基金を見ると、区債残高は258億円で、2年連続して減少し、基金は一般会計への繰り入れに55億円、新たな積み立てが139億円、基金残高は676億円と過去最高の基金残高となっており、堅調な出だしであると評価いたします。
事業執行の面では、誰もが暮らしやすい中野の実現のため、中野区ユニバーサルデザイン推進審議会が設置されました。また、区民活動センター及び高齢者会館の施設改修及びトイレの洋式化工事が進み、もみじ山文化センターの大規模改修とともに我が会派が長年求めてきた西館エレベーターのバリアフリー化が行われました。
子育て支援では、保育士給与加算や家賃補助などの保育士確保事業、子ども総合相談窓口の開設が行われました。また、全小学校の通学路への防犯カメラ設置が完了し、児童の安心・安全を守る施策が大きく前進しました。
南部地域には、待望の南部すこやか福祉センター及び南部スポーツ・コミュニティプラザが開設し、さらに南部障害児通所支援施設ゆめなりあと南中野区民活動センターが開設するなど、南部地域の区民サービスが拡充しました。これまで北部にしかなかった療育センターが南部にも設置され、また南部すこやか障害者相談支援事業所の開設や重症心身障害児・障害者在宅レスパイト事業がスタートするなど、障害児・障害者への支援が拡充されました。
西武新宿線沿線まちづくりにおいては、野方以西の連続立体交差化に向けて鷺ノ宮駅周辺地区まちづくり検討会に続き、野方駅と都立家政駅の周辺まちづくり検討会が設立されました。また、防災まちづくりを進める弥生町三丁目周辺まちづくりにおいては避難道路の一部供用が開始され、大和町まちづくりにおいては、不燃化特区の拡大や支援策の拡充が行われるなど、我が会派が求めてきた事業の推進を評価するものです。そして、平成28年4月に発生した熊本地震に対し、支援物資・義援金の提供、職員の派遣等、迅速な対応を行ったことも高く評価いたします。
一方、待機児童解消に向けた取り組みについては課題が残りました。民間保育施設新規開設支援として、第2回定例会で7億520万円の補正予算を計上しながら、計画どおり進まず、一部翌年への繰り越しはあるものの7億7,500万円余を最終補正で減額することになったことは大変遺憾です。今年度は区長を中心に緊急対策本部を立ち上げ取り組みを行っていますが、目下の課題の解決とともに、今後も安定した保育サービスの提供を行える取り組みとなることを求めます。
また、平成28年度は、区政運営において二つの大きな事案が発生しました。一つは、訴訟にまで発展した旧桃丘小学校をめぐる区有施設の貸し出しについての課題です。これは、契約のあり方と契約内容が履行されているか否かの区のチェック体制のあり方を問われることとなりました。二つ目は、臨時職員による個人情報流出の課題です。この深刻な情報セキュリティ事案の発覚は、ISMS認証取得をおくらせ、区の情報セキュリティ体制の一層の強化が求められました。これらについて、区は即座に再発防止策を講じているところですが、区民の信頼を損なうことがない区政運営を行うべきであることを指摘しておきます。
始まった10か年計画(第3次)では、中野駅周辺や西武新宿線沿線等のまちづくりがいよいよ本格化し、地域包括ケアの充実や区有施設の改修・改築・再配置等、まちやサービスの形が大きく変化をしていきます。今後、これらを着実に推進し、かつ新たな行政課題へも迅速に対応が可能となる組織体制と財政運営が求められます。
いまだ示されない新たな人事戦略について早期の策定を望むとともに、今年度から正式に導入された新公会計制度の活用について、公会計により得られる分析が予算編成及び今後の財政運営の見通しに積極的に活用されることを期待し、賛成討論といたします。